2016年11月8日執行のアメリカ合衆国大統領選挙では、ドナルド・トランプが勝利しました。ドナルド・トランプは、まさに政治家にとって、「ブランディング」が重要であることを示しました。2008年出版の「トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ」(ちくま文庫刊)の幾つかのフレーズからドナルド・トランプの人物を垣間見ることができます。
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私自身アースカラー(天然の土や石の色。赤みがかったものから茶系統まで幅広い)が好きだ。原色より色合いが豊かで、エレガントだからだ。
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私にとって金はそれほど大きな動機ではなく、単に実績を記録するための手段にすぎない。本当の魅力は、ゲームをすること自体にあるのだ。
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何かを買いたい時は、それが大して価値のないものだと売手に思わせたほうがこちらにとっては有利なのだ。
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悪い評判より良い評判のほうが好ましいには違いないが、商売をする上から言うと、何も言われないより悪く言われたほうがましだということだ。つまり、論争の種になると売れるのだ。
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失業者に生活保護を与えるより、職を提供するほうがよほど建設的だと思う。
ここからわかるように、ドナルド・トランプは「ビジネス」というゲームを楽しむ筋金入りのプレーヤーなのです。当然ながらビジネスというゲームは「ストラテジー(strategy)」「ブランド(brand)」「マーケット(market)」を知らずして、勝つことも楽しむこともできません。ビジネスにおいて無知が大きなリスクになるのと同じように、政治においても生活者そして自らを知ることを怠ってはなりません。なぜなら、生活者と自らの位置付けを明確化することからブランドが構築されていくからです。そのブランドを戦略的に運用していくことこそが成功に至るただ一つの道なのです。「政治家のブランディング」で、ゲームを楽しむ本当のスキルを手に入れていただければ幸いです。