インターネットと選挙

「票を持っているのは高齢者だから、インターネットは金の無駄」などと考えるのはナンセンスであり、そのような政治家に未来はないでしょう。なぜ政治家にインターネットの活用が必要なのかについて解説していきます。

インターネットと選挙戦略

日本は高齢化が進んでいます。高齢者は人口が増加している上に投票率が高いため、選挙で票を持っているのは高齢者ということができます。高齢者はアナログメディアでの接触が中心になりますが、詳しい政策を伝える手段やコミュニケーションをとる方法としてはインターネットも浸透してきました。

特に選挙期間中は多数の有権者に高い頻度で情報発信する必要が出てきます。インターネットはリアルタイムな情報発信ツールとして強力な武器になります。

公式ホームページと選挙

公式ホームページを使った戦略が再び注目を集めています。信頼のおける情報を伝達しなければならない政治家にとって、公式ホームページを中心に情報発信を行うことは重要です。

また、公式ホームページを利用することは、収集したデータの活用も独自に行えることを意味します。インターネットで支援者や有権者からメッセージや意見を受けることも多くなりますが、それらを分析し政策に反映することもできるようになります。一方、有権者の情報を扱う責任としてセキュリティ面にも配慮してインターネットを有効活用することが大切です。

インターネットの活用と得票の関係

3〜5万人が国政の当選ラインといわれていますが、全国的に見て70代の投票率は8割を超え、20代の投票率は3割、都市部で2割を切っています。人口の年代バランスの状況を加味すると、選挙においては、70代は20代に比べて8倍の影響力を持っているという見方ができます。

一方で、ネットユーザーのボリュームゾーンは20〜30代ですが、今後ネットユーザーの年齢の上昇とともに、ネットユーザーの投票率が上がってきます。若年層にリーチしていくためにインターネットの活用は欠かせません。20〜30代でも2〜3割はネットでしか情報を得ないという調査データもあり、テレビや新聞などこれまでのマスメディアではリーチしない層が存在することも事実です。インターネットがこれからのメディアのほとんどの部分を担うことを忘れてはなりません。

民意の収集と分析

ビッグデータの政治への活用の期待が高まっています。すでに政治に関するビッグデータキーワード分析を行なっている会社も複数あります。例えば、Yahooでは候補者名と第2キーワードで投開票前に当選の可否がほぼ分かるレベルにあります。

ホームページを持っていれば、アクセス状況を解析することでその傾向を読み取ることができるはずです。有権者があなたやあなたのホームページに対してどのようなことを求めているかが分かるのです。

ネット選挙と寄付金

アメリカではネットでの政治献金が一般的に行われています。日本でのクラウドファンディングの政治への応用は今後浸透する可能性があります。質の高い政治活動には資金が必要なことは事実です。政策に対する寄付金を募り、政策実現の際に寄付金が実際に支払われるという仕組みが必要になってくるのではないでしょうか。これによって政治家と国民双方のメリットになる政治が実現するかもしれません。

ネットユーザーと投票率

ユーザー調査では、ネットへの関心が高い人々は政治への関心も高く、さらに投票率が高いという統計結果がでています。若者は政治に関心が無いわけではありません。「政治へのコミット=投票」という現実に納得していないだけではないでしょうか。

何れにしてもネットユーザーの投票率はこれから上昇すると考えられます。選挙の情報を収集するメディアとしては、1位はホームページやブログという統計結果があります。また、動画も着実に浸透してきました。演説を動画配信サイト等で発信することもできます。また、SNSを利用したバーチャルロビー等、様々な取り組みも行われています。

世代とネット選挙の関係

人口問題研究所の推計では2030年には日本の総人口の3割超を65歳以上が占めると言われています。

ソーシャルメディアの利用状況は20代が63.9%。60代は22.3%となっています。(情報通信白書)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/html/nc232310.html

平成22年参議院選挙の投票率は60〜64歳が73.82%、20〜24歳が33.68%(総務省)となっています。人口は60〜64歳が1019万人、20〜24歳が608万人(総務省 人口推計)が現状でネット選挙の「反応が乏しい」のも当然といえるのは、投票率の高い年代のインターネット利用率が低いことが原因です。一方、長期的にはインターネット接触率の高い層の投票率が高まっていくため、今後は特にインターネットを使った選挙戦略を構築することが重要になります。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK0102E_R00C13A7000000/

投票率の詳細は総務省「目で見る投票率」をご覧ください。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000153570.pdf

特にソーシャルメディアにおいては誹謗中傷や炎上など不測の事態が起こることも予想されます。ソーシャルメディアポリシーを策定し、計画的にマネジメントすることも重要になります。
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2010/05/25/8041

インターネットの利用は必須

諸外国は国民の党員数は数割が一般的ですが、日本は党員数が数%と元々政治への関わりが薄い国といわれています。日本人は基本的に政治に無関心な国民性があるといえるかもしれません。

しかし、中長期の政策で扱われるインフラなどは現在の子どもたちが使うものであり、日頃から子どものことを考えながら政治を進めるべきなのは当然のことです。アメリカでは子どもを共和党と民主党に分けてディベートを行なう等して子どもの頃から政治参加を促す教育を行っています。

諸外国では未成年の選挙運動を禁止している国はなく、日本は若年層の政治参加では諸外国から大きく遅れを取っているため、今後是正され若者の政治参加は促進されていくとみられます。

このことから考えても、今から戦略のツールとしてインターネットを中心に考えておくことは重要なことだといえます。「票を持っているのは高齢者だから、インターネットは金の無駄」などと考えるのはナンセンスであり、そのような政治家に未来はないでしょう。

インターネットを中心に据えたブランディングに取り組んでみませんか。まずは私たちにお考えを聞かせてください。